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耐震診断

耐震診断

熊本地震と地盤

令和8年熊本地震

まず、被災者の皆様と関係者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。

10年前に起こった熊本地震と同様に、今年7月28日、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生しました。現在も余震が続いています。

インターネットやテレビでは、古い木造住宅の損壊が大きく取り上げられています。もちろん命を守ることが第一ですが、建物が半壊して住み続けられなくなると、避難所での生活を余儀なくされます。この暑さの中、本当に大丈夫なのだろうかという気持ちが強く湧いてきます。

報道では、車中避難や物流の停滞などにより、燃料不足も問題となっています。また、避難所では空調設備の整備も進められていますが、この猛暑の中、多くの避難者が快適に過ごせる状況とは言えません。

今回の地震活動は、日奈久断層帯に沿って広がり、2016年熊本地震の活動域は、その北東側にあります。(地震調査委員会資料

熊本県周辺の主要活断層帯(日奈久断層帯)を示すJ-SHIS Mapの図

そこで私がいつも現場でも案内しているのが J-SHIS Map(地震ハザードステーション)です。インターネットで誰でも見られるサイトで、自宅周辺の活断層や南海トラフ地震の情報まで確認できます。難しく感じるかもしれませんが、一度ご自身の地域を検索してみるだけでも発見があると思います。

もう一つ、私が現地調査のときによく参考にしているのが「30m平均S波速度(AVS30)」という指標です。地表から30mまでの地盤の硬さを表すもので、数値が小さいほど一般に揺れやすい地盤だと考えられています。自分の家の場所を入力するだけで数値が出てくるので、感覚的にも分かりやすいです。同じ地震でも、地盤が硬ければ揺れは増幅されにくく、柔らかければ大きく増幅される——これは現場を見ていても実感するところです。

私は、住宅の耐震性を耐震等級だけで判断するべきではないと考えています。耐震等級を必要以上に高めれば、費用対効果は下がり、設計の自由度も失われます。建物だけを見るのではなく、自分の土地がどのような地盤なのかを知った上で設計するべきです。既存住宅の耐震改修でも、地盤を考慮せずに耐力壁だけ増やしても本当に安全とは言えません。

熊本県宇城市小川町新田付近の地震ハザードカルテ(J-SHIS)

もう一つ、私が地盤を見るときに必ずチェックするのが「地盤増幅率」という数値です。地震波が地表に届くまでにどれだけ増幅されるかを示すもので、大きいほど揺れやすい地盤ということになります。目安として1.8以上は揺れやすい側、2.3以上は最も高い区分とされていますが、今回掲載した地点は1.84あり、正直なところ、比較的揺れが増幅されやすい地盤だと感じました。

震度7を観測した地域には、干拓地や三角州・海岸低地など、揺れが増幅されやすい地盤が広がっています。今回の大きな地震動に加え、表層地盤による増幅も建物被害を大きくした可能性があります。

地震に対する建物の強さは、耐震性能だけで決まるものではありません。地盤・建物重量・建物形状を一体として考える必要があります。

「備えあれば憂いなし」と言いますが、地震対策ほどこの言葉が当てはまるものはありません。家が全壊しなくても、半壊して住めなくなれば長期間の避難生活になる可能性があります。耐震とは、建物を守るためだけではなく、その後の暮らしを守るためでもあるのです。

一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。そして、少しでも皆様のお役に立てるよう、私はこれからも耐震診断を続け、その中で感じたことや学んだことを報告していきたいと思います。