京町家大改装
一日一客の小さな宿
「び庵」は昭和10年に建てられた小さな木造平屋建て住宅を、リニューアルしたものです。施主は洋画家であり建築や庭園にもこだわりの深い方で、全体を通しての要望はまがい物を嫌う本物志向でした。当初は宿泊施設付きの絵画教室への改修を行いたいという相談でしたが、現場が進んでいくに連れて旅館として姿を変貌していきました。
改修にあたっては蟻害や傷みがはなはだしく、床組みの取替えや土壁の全面やりかえなどを余儀なくされました。既存の竹小舞を利用した本土塗壁、床板には杉無垢の縁甲板を使用し、便所の壁は柿渋塗りとしました。垣の冠の形や縁側の滑らかな形は、施主の絵に度々出現する扉の形を呈しています。
旅館として新たな生命が吹き込まれて感じるのは、施主のこの宿に対する深い愛情です。建築や造園は勿論、一つ一つの調度品に至るまで、施主のこだわりが見て取れます。
び庵はTVでの放映が幾度かされており旅行会社からもアプローチが多いそうです。
建築概要
用途 | 簡易宿泊施設 |
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所在地 | 京都市北区 |
規模 | 床面積45.93㎡(13.9坪) |
竣工 | 2004年2月 |
施工 | 三和工務店 |