解体をしてから一週間以内に耐震改修案をまとめて、建築主にプレゼンをしています。リフォームの場合、タイトなスケジュールが多いので、このように早急に改修案が求められます。構造をはじめ、地盤、設備、蟻害、腐朽などチェック項目は多岐に亘ります。
耐震診断の一般診断法(国交省監修)の結果を踏まえて、解体で見えてきた構造体や基礎等を合わせ、精査していきます。
『高野川の家』の場合、新耐震(昭和56年)以降の建物でしたが、耐震診断の結果は3階は基準値以上あったものの、2階と1階に関しては基準値の5~3割という想像以上に耐震性が低く「(中・大地震で)倒壊する可能性が高い」建物でした。
ここでの設計では基準値である「(中・大地震で)一応倒壊しない」を目標に設計を進めました。つまり「建物はダメージを受けるが人命は守れる」という建築物の一番重要な項目の設計になります。
出来た改修案を元に、施工者に早急に見積もりをしてもらい、建築主に改修案の報告を行います。
今回は基礎が健全で、蟻害もありませんでした。リフォームと共に行う耐震改修工事でしたので、総予算に対しておよそ5%で納まりそうです。(一般的には10%前後)
耐震診断(一般診断法)の項目以外にも、構造体の直下率(上下階の柱や構造壁の一致)や、構造ブロック(架構の構造単位)などで耐震性が大きく左右されます。ただたんに構造壁があれば良いというものでもないのです。
耐震診断は市町村に連絡すれば行ってくれるのですが、新耐震以降の建物は対象外となっています。どんな建物であれリフォームするときには、耐震性もチェックしましょう。