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北斎の絵に見る幾何学(図学)的要素

北斎の絵は自由奔放に見えて、絵の中には緻密な幾何学的な構成が見えます。これは建築の構成美と似ているところが有ります。 以前紹介した代表作として知られる「神奈川沖浪裏」ですが、その幾何学的構成を見て行くと・・・(印象派の音楽家ドビュッシーの交響詩「海」はこの絵に発想を得ています) まず絵の対角線をかきます。次に絵の左下を中心とし、左上を半径とした円弧を描きます。すると交点Aおよび交点Bが出来るのですが、そこに波先と、富士山の山頂を配置しています。これだけでもすごい緊張感ですが、更に見て行くとA点の平行線は大波の左右の点とほぼ同じです。またA点の水平線と、B点の垂直線の交点Cを中心にした円弧は大波の高さを揃えると、波の内ラインに等しくなります。この円弧を左半分に反転した形が大波の形(破線)になります。画面に内接した楕円は外側の波ラインに等しい。富士山の形と手前の波の形は、よく見ると酷似しているし、その波に突き刺すかのような舟は、偶然ではなく必然的な配置だったのだと発見できます。

もう一枚の代表作(こちらの方が有名かな)で「凱風快晴」(がいふうかいせい)の絵はがきも買っていて、トイレに貼っていました。こちらの絵は呑気なものだなぁと眺めていたのだけれど、画心は山肌に一致しているのでは? と発見して早速調査を行いました。対角線を引いて画心を求めると、中央A点が山肌に重なる。分割線を引き、上部の方形にそれぞれ対角線を引き二等分すると、右側の分割線上に富士山の山頂部分B点が重なります。B点を水平移動して、左上方形の分割斜線に交わるC点を導きます。そのC点を芯としてA点とB点を通る楕円を描くと山の放物線となります。それでC点を軸に楕円を反転すると、その下部がおおよその植栽部で、右へ平行移動して右側の山肌ができる。こうやって分析すると、山頂部に浮き出ている三本の縦線も図で示すと、必然的に書きたくなる線なのかもしれない。ほんとうに図学的な絵だと言うことが分かります。

 

北斎 参考ブログ

北斎展 ~大胆な構図と豊かな色彩

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