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建築メモ

京町家の増改築や大規模修繕

先日、京町家(*1)の増改築に必要となる建築確認申請等の講習に行って来ました。京都市の住宅の9割が準防火地域(*2)にありますが、この地域で増改築の要素があると建築確認申請が必要となって来ます(準防火地域以外でも10㎡を超えると必要)。増改築や大規模修繕(*3)においては既存部分全てが遡及適応(*4)を受けるという非常に厄介な法律になっています。この基準法適応除外制度(建築基準法第3条1項3号規定)の説明会でした。この制度を利用すると古い京町家も現在の建築基準に認められるのです。

大きなところでは以下のようなチェックが必要となります。
・構造…耐震診断と耐震改修基本計画(*5)で構造の安全性を確認します。
・外壁軒裏の防火仕様…京町家独自の防火改修ができます。
・窓、出入口の防火設備…木製建具にすることができます。
・建ぺい率、容積率の超過…減築せずとも活用可能です。
・斜線制限…現状のまま活用可能です。
・避難防災…規定により防耐火性能を緩和します。

以上の規約を守って、京町家の増改築を行うのは大変なことですが、構造や防火の見直しにもなりますので安心して住み続けることができます。
増改築や修繕をされる方は、何なりとご相談ください。

*1: 京町家とは昭和25年以前(建築基準法制定前)の住宅
*2: 市街地における火災の危険を防除するため定める地域として指定されるエリア
*3: 現在の法律(建築基準法など)に適合させる必要ある
*4: 主要構造部の半分以上の修繕
*5: 京町家耐震診断士が行うもの

建築基準法適応除外制度

京都市資料より

ロフトの改装には注意を

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先日、京町家の耐震診断で平家の小屋組をロフトに改装されている例がありました。小屋裏空間は梁や小屋束などが縦横に架かっているので、上手く計画をしないと使いづらいものになってしまします。かと言って重要な構造材を撤去するわけにも行きません。
この平家のロフトは、邪魔な構造材も少なく居心地の良い空間だったようですが、小屋組で一番大切な梁がバッサリと切断されていました。
住まい手の話では震度2程度の地震でもかなり揺れるということでした。耐震診断では構造壁のチェックが主な調査内容なのですが、構造壁量を満たしていたとしても骨格が切り刻まれていては意味がありません。元の梁組みに戻すか、それ相応の補強をする必要があります。

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京都府内全住宅の耐震化

京都府は今後10年間で、府内全住宅の耐震化や減災化を進める目標を定めています。100%の住宅が耐震化されると、大地震に対して75-80%も被害を減らせるとの試算を出しています。計画期間は2020年度〜2030年度までで、補助金も継続して出るようです(6月に決定)。
ネストデザインでは耐震診断から耐震補修、補助金申請まで行っておりますので、お気軽にご相談ください。

屋根軽量化(羅生門の家)

屋根軽量化

耐震土壁(羅生門の家)

耐震土壁

劣化修繕(羅生門の家)

劣化修繕

積載荷重の検討(羅生門の家)

積載荷重

ダイニングテーブルの掃除

日本全土に緊急事態宣言が出まして、家で暇にされている方も多いかと思います。
掃除や片付け、断捨離をされている方も増えていると思います。
何かヒントになるものをと思い書いてみました。

このダイニングテーブルは結婚した時に買ったもので、なんと25年になります。
楢(なら)の無垢材で北欧製のものです。広葉樹の無垢テーブルは堅くて美しくて良いのですが、食卓として使っていると食器・コップの輪染みや、食べ物の汚れなどが付着してくるものです。
普段は固絞りの雑巾掛けで良いのですが、数年に一度は大掃除をすると新品のように生まれ変わりますので、無垢のテーブルをお持ちの方は是非メンテナンスをして上げてください。

    ① 固絞りの雑巾でテーブル表面を拭く。
    ② 乾いたら紙ヤスリを掛ける。今回は#80→#240→#400という順番に掛けました。番手(#)は数字が大きいほどヤスリ目は荒いです。荒目から細目に変えていき長年の汚れを落とします。
    ③ 固絞りの雑巾で汚れを拭き取ります。
    ④ 石鹸水を作りテーブル表面を拭く。
    ⑤ 固絞りの雑巾で仕上げ拭きをします。
    ⑥ 今回はオイル仕上げとしました。亜麻仁油を布で抜き取っています。

Before

Before

② 紙ヤスリ掛け

⑤ 仕上げ拭き

After ⑥ オイル仕上げ

After

※普段のメンテナンスは③〜⑤の工程で良いです。汚れのきついときは2〜3度繰り返します。

今回は、椅子についても掃除をしました。
常に汚れるところは、綺麗に保ちたいものですね!

住まいの点検 住宅耐震診断の進め

この時期、地震や台風・大雨で、避難が必要になるとどうなるのか?
COVID-19騒ぎで3密(密閉・密集・密接)を避けるように叫ばれる中、避難所生活ではこの3密は避けられないものとなる可能性が極めて高いです。

今後、東・東南・南海地震、日本海溝地震、首都圏直下地震などが起こるとも言われています。また京都に至っては、京都市南部を中心に今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる可能性がある(京都大学防災研究所)と警告しています。

耐震診断を受けられて現在の住まいの点検を行っておく事が、命を守る為にも必須の条件になりつつあります。
地震の震度は7階級ありますが、震度6強で安全に過ごせるような住宅に住まう事が望まれます。耐震診断ではこの震度6強の地震に対する安全性について、現地調査や構造計算を行って検証していきます。

ネストデザインでは京都市派遣の耐震診断事業を行っております。居住者の方の耐震診断費は(京都市より助成金によって) 無料 で行っています。また診断結果を元に、2万円の負担金で改修の参考となる基本計画も出来、工事概算費も作成いたします。※1981年5月31日以前の木造住宅対象です。

詳しくは京都市の「木造住宅及び京町家等耐震改修助成事業」ページをご覧ください。
他にも様々な補助金がありますので、ぜひご活用ください。

【令和2年度】京都市補助金

令和2年度 木造住宅耐震化支援事業

上京区京町家の耐震診断

上京区の京町家の耐震診断に行って来ました。
隣家との境が共通の柱でしたので「長屋」という形式になります。
依頼主だけでなく、隣家の方にも調査させていただきました。
診断建物は平屋建てで織機が二機あった跡がありました。西陣なので40年ほど前まではどこもかしこも機織の音が響いていた地域です。いわば個人の小さな工場ですが、使いやすさのためか中央付近の壁が少なかったです。
よくある事ですが、水回り付近の柱が沈下していました。昔は排水は土管だったので、亀裂などから土に排水が染み込み、近くの柱などは腐ったりシロアリが付いたりしているようでした。

長屋外観 昔ながらの格子

長屋外観 糸屋格子

内部 旧織機場

内部 織機があった場所

京都景観エリアマネジメント講座・実践講座レポート

3年越しで受講していた「京都景観エリアマネジメント」の修了レポートの発表会がありました。
私は生活の拠点としている、北区新大宮商店街〜大徳寺・今宮神社周辺の活性化に向けてのレポートを作成致しました。私の他に7名の受講者の方々が、様々な視点で景観に関するレポートをされています。興味のある方は受講をして勉強していくと、新しい視野が拡がると思います。私の分だけですが景観に興味のある方は、お読みいただければ有り難いです。また散策マップも作成しましたのでご活用していただければ幸いです。

レポート:北区新大宮商店街~大徳寺・今宮神社周辺の活性化に向けて

ビフォーアフター 新大宮

現状 → 提案

散策マップ

散策マップ

(仮想)嵐山の景観

建築設計をやっていると町並みや景観というものを意識せざるを得ません。
そういうこともあり一昨年の夏より景観エリアマネージャー講座というものに参加して勉強をしています。座学の基本講座は修了し、実践講座にも参加してフィールドワークも行なっています。
班毎に景観を見て歩き、改良点などを仮提案するという課題が出されました。
私たちの班は嵐山の渡月橋周辺の景観向上の仮提案をしました。
以下、私が作成した仮想嵐山の提案図と景観パースです。

提言・提案 全体図

提案図【拡大できます】

嵐山左岸 現況

嵐山左岸 現況

嵐山左岸 提案

嵐山左岸 提案

嵐山中ノ島 現況

嵐山中ノ島 現況

嵐山中ノ島 提案

嵐山中ノ島 提案

少し飛躍しすぎている部分もありますが、景観を考えてみる勉強になります。

事務所概要 Atelier

一級建築士事務所 ネストデザイン
杉本 考次
京都市北区紫竹西南町63-7
TEL:075-493-8020
FAX:075-493-8021
E-mail:info@nest-design.net

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